2006/10/21

いじわるな星

□ 出典

『ちぐはぐな部品』角川文庫、2006年


□ あらすじ

宇宙パトロール隊員によって発見されたジフ惑星は、
緑豊かなすばらしい惑星だった。
さっそく、地球から基地建設隊が送られた。けれども、
作業はいっこうにはかどらない。なぜなら、作業を進
めようとすると、幻の豪華料理が出現するからだ。
幻とはわかっていてもついつい手を伸ばし、失望する。
遂に隊員がノイローゼになってしまった。
その反省を生かし、第二次基地建設隊は、世界でも
選りすぐりのシェフを同行することになった。しかし、
今度は幻の美女たちが現れた。
どんどんエスカレートする幻と、いたちごっこをする
地球人たち。そして、ついに破局のときが・・・。


□ 感想(まだこの作品を読まれていない方は、あと
でね)

何か真剣にやらなくちゃいけないときに、色々な誘惑に
かられる経験というのは、誰にでも一度はあると思いま
す。私の高校時代には、こんなことがありました。
私が親しくしていたグループは、男女4~5人ぐらいずつ
でしたが、3年生のときにその中からなんと、3組もカップ
ルが誕生したのです。
進学校だったので、受験のプレッシャーもあったので
しょう。特殊な状況下では、恋愛感情が芽生えやすいの
かも知れません。たしか、『スピード』という映画の中で、
サンドラ=ブロックがそんなことを言っていたような記憶が
あります。
私は片思いの子のことで悩む日々を送っていたので、
羨ましいなぁとは思ってましたが、反発はしませんでし
た。でも、今改めて振り返ると、6人は本当に幸せだっ
たのかなぁと思います。
幸福も、慣れてしまえばただの日常です。日常もよく噛
めば味わい深いものですが、高校生にはまだ理解でき
ません。私には、6人がどんどんせわしなく振舞うように
なっていったように思われました。
ジフ惑星は、最後に何もない本来の姿を現します。脇目
もふらず開発を続けていたらどうなったか、それはわか
りません。しかし、目先の誘惑を次々に実現化していった
地球人は、結局何も得ることができませんでした。
ひとつの目標に向かって、一心不乱に突き進むのは、
普通の人間には難しいです。時には誘惑に乗るのもい
いでしょう。しかし、それは所詮幻かもしれない。そん
な冷静な気持ちも忘れないでいたいと、考えています。

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