2006/10/22

万能スパイ用品

□ 出典

『ちぐはぐな部品』角川文庫、2006年


□ あらすじ

秘密情報部員のエヌ氏に、対立国の軍事機密を
盗んでくるという任務が与えられた。相棒は、秘密
研究所で開発された万能カメラただひとつ。それ
で機密書類を残さず撮影してくるのが、エヌ氏の
任務だ。
しかもこのカメラがただものではない。通信機器や
万能合鍵としての機能を備えている他、脱出用の
ロープや買収用の宝石まで出てくる優れもの。は
ては武器にもなるという。
すっかり感心し、任務達成への自信を深めるエヌ氏。
しかし、この道具にはたったひとつ欠点があった。


□ 感想(未読の方はご注意!)

私の友人の実家が、デザイナーズマンションを購入
しました。モデルルームの見学会で一目惚れし、ほ
とんど即決だったそうです。
しかし、いざ入居してみると、あまりの使い勝手の悪
さにすぐ嫌になってしまったとか。
有名デザイナーがデザインした家具を、よく雑誌など
で見かけます。私は簡素で機能的な家具が好きなせ
いか、あぁいうのはどうなんだろうと、いつも首をひね
っています。椅子など、たしかにおしゃれなのですが、
座り心地が悪そうなのも少なくないような気がします。
あまりにデザインが重視されていて、本来の椅子とし
ての機能が損なわれてしまっているものもあるのでは
ないでしょうか。
エヌ氏に与えられた万能カメラには、撮影機能が付い
ていませんでした。付加価値に凝るあまり、本来の目
的を忘れてしまったのです。
道具には機能美というものがあります。装飾を施され
ていない機能一点張りの無骨な品には、他にはない
気品があると思います。カメラつながりでいえば、例え
ばライカがそうですね。ぶっきらぼうですが、やはり風
格があります。
人も同じですね。社交好きな方の陥りやすい罠として、
優れた友人と交際するうちに、自分も優れた人間にな
ったと勘違いしてしまうということがあります。そういう
人と話をすると、必ず友達自慢が始まるので、すぐわ
かります。そういう人に一度、「お友達のことはわかりま
した。それで、あなたはどんな方なのですか?」と尋ね
てみたい気もしますが、やめておくのがマナーという
ものでしょうか。

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